舞台「ダレンジャーズ2」

2020/1/25 「ダレンジャーズ2」(六行会ホール)
「邪悪・ナイト・ライジング」「ダレンジャーズ」と続くシリーズの三作目、なのだが、前二作を見ていない私でも終始爆笑。東西のヒーロー物からいろいろネタを頂きつつ、かなりのギャグとシモネタと、しかし要所要所でしっかり熱くヒーロー物に。
シリーズ通しての主人公格・阿久津正斗の特質が「非道なことをするほど強くなる」邪悪の力のため本来は協力するべき他の戦士を殴る蹴るしてパワーアップとか、各キャラの能力設定からしておかしい。
阿久津と共闘する財団の天才少年の護衛・神埼役の栗生みなさん、敵方ヘルダークネスの幹部ペイン役の藍菜さんは、ふたりとも猛烈なキャラ立ち。特にあそこまで笑いに振った栗生さんを見るのは初めて。ヒロインで守られるポジションの桜撫子役・今出舞さんはこの布陣だとさすがにちょっと目立つ箇所が減るけど、それでもクライマックスでは大活躍。

シリーズ通しての大悪役・エレクター役の五十嵐啓輔さんが急激な喉の化膿で途中降板したのは残念だけど、やっと退院されたようで一安心。アンサンブルの一人を急遽エレクター役にしてわずか一公演の休演で立て直した後の上演回も見てみたかった。

舞台「何も変わらない今日という日の始まりに」

12/18 劇団皇帝ケチャップ 「何も変わらない今日という日の始まりに」 (中野ザ・ポケット)
これもまた、自分の古傷に触ってくる作品だった。
登場人物は不老研究の施設にいる被験者たちと所長・所員、そして公的機関から来た調査員。
主人公の瑛美は高校生のときの親友の死をきっかけに自らを罰するかのように施設の被験者となったが、死んだ友人は彼女にだけ見える幽霊としてずっと現れ続け、もうひとりの親友とは何十年もずっと文通し続けている。
他の被験者もみな何かしら訳有り。何も変わらない日々を続けていたが、調査員の来訪を機に事態が動いてく。
特に、ずっと家族が迎えに来るのを待ち続ける(がその家族はとうに死んでいる)矢射子と所員の美舞がらみのエピソードが、演者の力もあってか印象深い。
瑛美役・今出舞はそこそこ長い一人芝居が、それもコミカルなモードとシリアスなモードと複数あって、その演技に改めて力量を感じさせられた。

しかしあそこまで何十年も同じ想いを抱え続けるというのは、被験者みな、肉体だけでなく精神も固定されたままなのだろうという推測が成り立つのだが、もしそうであれば内罰的な瑛美にとっては特に残酷な話。
被験者のうち薫だけは物忘れがひどくなっている描写があったので、老化も成長しないまま記憶が徐々に壊れていくのかもしれない。
所長の里見も数十年を経て特に老境に差し掛かった描写はなかったので、自らも実験体としていたのだろうか。

観劇記録2019/10~11

2019/10/14マチネ ENG「探偵なのに」 (シアターグリーン BIG TREE THEATER)
しがない私立探偵はあるお嬢様が不審な男たちに絡まれているのではと勝手に調査していたが、むしろ不審者として彼女の屋敷にとらわれる羽目に。そして次から次と増えていく囚われの人たち。
とにかく、「興信所の探偵」役・図師光博さんと馴染みの「魅力溢れる喫茶店員」今出舞の掛け合いのグルーヴ感がよい。
この二人、1月に見た「遠慮ガチナ殺人鬼」でもコンビ的役柄だったのだが、演技の相性がいいってこういうことかと実感。
それにしても「謎のヒットマン」の存在が反則過ぎた。

2019/11/19ソワレ STRAYDOG Seedling「バンク・バン・レッスン」 (ワーサルシアター八幡山)
銀行強盗の対処訓練を繰り返していくうちどんどん設定が膨らんでいくコメディ。
何度も再演されている作品をストレイドッグで。
この妄想力勝負みたいな作品は再演ごとに色々アレンジできそうでいいなあ。メインキャストの一人が上西恵ということで、転換の間がっつりポニシュやBeginnerを踊るという構成には「儲けた」と。
あの支店のその後が気になる。

2019/10/20マチネ、10/21ソワレ WBB Plus「いえないアメイジング・ファミリー」 (Theater Brats)
妖怪家族の次女が人間に恋をしてしまい、家につれてくることになったが父は大の人間嫌い、彼が人間だとバレたら大変なことに、と画策するがそこに泥棒や神父までやってきて…。
家族全員キャラが立っていて楽しく、急遽翌日に当日券を追加したくらい。
末の妹サトリの笑い方とか最高。
ただ、前の方の席はかなりタイトな空間で床に座布団、膝を痛めているのでこれはきつかった。

2019/11/2マチネ 「おおばかもの ふくらめ!私のイースト菌」 (浅草花劇場)
パン屋だった記憶喪失のヒロインの記憶を戻すために夫と姉はパン屋を始めるが、募集で集まった人たちがみな一癖も二癖もある面々、さらにその中のひとりをライバル視するパン界の大物がいて。
ヒロインの姉役・小嶋菜月は、かつては棒読みをテレビ番組で何度もいじられたくらいだったのだが、それが信じられないくらいの好演で実質主役状態。人は成長できる。
あと、悪役の片割れミセスバターの田名部生来の網タイツのおみ脚が、大変よろしゅうございました。。
なんだかんだシリーズ一作目から見ている「おおばかもの」だが、今まで演劇・ダンス・お笑いとお題は変わっても大筋が変わらなかったのを今回で結構変えてきて、これは見続けてきたお客さんは賛否両論出るかなという構成に。
ただ、あのままだといずれ行き詰まっていたと思うので、ここで選択肢を増やしたのは吉と出る気がする。

2019/11/10マチネ 「魔術士オーフェン はぐれ旅-牙の塔編-」 (六行会ホール)
今回も原作リスペクトっぷりがすばらしく、まさに「挿絵から抜け出してきた」かのような外見に、原作からちょっと外れたシーンでもこのキャラならこうだろう、という仕草やセリフ。ここまでやってくれれば古くからのファンも満足だろうという出来。
みな相当内面を掘り下げてその人物を作ったのだと思う。
松多壱岱演出ならではの魔術の表現はさらに洗練され、殺陣のレベルもおそろしく高くて、アンサンブルに相当できる人たちを揃えた印象。

2019/11/30マチネ 劇団扉座「最後の伝令 菊谷栄物語 -1937津軽~浅草」 (紀伊國屋ホール)
前から行きたいと思っていた扉座の本公演をやっと見ることが出来た。
昭和・太平洋戦争前の実在の劇作家・菊谷栄が大陸での戦争に招集され、その出兵前の青森の旅館での一夜が主な舞台。世の中がどんどん理不尽な方向に進んでいくが、まだレヴューを上演したりジャズのレコードを掛けるくらいはできる、そういう時代。
エノケンの一座が浅草での公演を中断して品川まで菊谷出征の見送りに行ったシーンは史実なんだよな。客が満場一致でそれを許し帰りを待っていたというのも。
津軽弁の方言指導が相当徹底されたらしく、同じ津軽弁でも立場によってそれぞれ違うのがちゃんと表現されていて感心。
横山結衣の演じる北乃祭は実に適役、彼女あてがきならではの使い方。

2019/12/1ソワレ 100点un・チョイス「team」 (シアターサンモール)
うかつにもダブルブッキングしてしまって買い足したが本来11月に見る予定のものだったのでこちらに。
舞台本番前日なのに脚本のラストが来ない、さらに主役が行方不明に。明日本当に開演できるのかとあがく演出家・役者・スタッフたち。
自信なさげで頼りない様子だけど主役のセリフも入れている主役(ややこしい)・西銘駿さん、今年ちょこちょこ見るけどああいう役やらせるとしっくりくる。
ただ、100チョイでは「誰かが彼女を知っている」の方が好みだったかなー。
「team」は、あの作中で稽古している作品が、あまりいいものになりそうにない気がするんだよね。

本来もっと見ているはずなんだけど、10月は台風で一枚、11月はダブルブッキングで二枚チケット無駄にしてしまったのが残念。

観劇記録2018/12~2019/04(随時追記)

備忘録として。

2018/12/15 「ダンスカンタービレ2018」 (博品館劇場)
初演では一切のセリフ無し、ダンスだけで魅せる作品だったが、2018では田野優花による語りが追加。まさかこれから4ヶ月もせずに演出・主演の森新吾さんが亡くなられるとは…。
2018/12/15 「スナップ・アウェイ」 (テアトルBONBON)
落ち目のオカルト雑誌と人気週刊誌、ふたつの雑誌編集部を巡る巧妙な構成のコメディ。両編集部の編集長役がいい味。
2018/12/16 「おおばかもの~憧れのサンパチマイク」 (草月ホール)
芸事に打ち込む「おおばかもの」たちを描く群像劇、今回の題材は漫才。思い返すと、主役コンビに後輩が憧れて入ってくるのに説得力を持たせるだけの漫才シーンが足りないか?
2019/1/14 「遠慮ガチナ殺人鬼」(中野ザ・ポケット)
陶芸家だった故人の通夜に集まった人々はみな「自分が殺した」と言い出し、その言い合いの先に…。金貸しコンビの片割れを演じた今出舞が特に抜群。
2019/2/2 「夜曲」 (新宿村LIVE)
善人会議/扉座の「夜曲 ~放火魔ツトムの優しい夜~」の、劇団アカズノマによる再演。作品名だけは知っていたがこういう話だったとは。
2019/2/23 「ネーチャンズ☆8」 (築地ブディストホール)
オーシャンズ某を元ネタにしたコメディ。終始腹筋崩壊状態で、呼吸困難の恐怖を味わった。ここでも研究所長役の今出舞がいい仕事。カラスカさんの作品は今後チェックしていこう。
2019/3/2 「山犬」 (サンシャイン劇場)
劇団鹿殺しの「山犬」を、キャストの性別を入れ替えての再演。「犬」役の山本光二郎さんの身体表現が圧倒的。人はあの体格であんなふうに動けるものか。監禁されて次第に壊れていく雲雀役の太田奈緒、かなりいい。もっと芝居を見てみたい。物語の軸となるマコト役の岩立沙穂も、引き出せば引き出しただけもっといろいろ出てきそう。
2019/3/21 「見渡す限りの卑怯者」 (あうるすぽっと)
精神病院に措置入院された若い画家と、医者と看護師と…。凄いものを見た。主演の百名ヒロキさん、演技もセリフ量もダンスシーンでの体の使い方も圧倒的。
2019/3/23 「出雲の涙 vol.2」 (キンケロ・シアター)
いにしえの女芸能者「出雲阿国」に題材を取った時代物だが、着物に普通にニットキャップやバッシュを合わせているのが最近のノリか。うっかり目当ての演者がほぼ出ていない逆班のチケットを取ってしまう失態。
2019/3/28 「十二番目の天使」 (シアタークリエ)
原作は米国のベストセラー。幸せの絶頂から事故で妻子を亡くした男が、リトルリーグの指導を引き受けて再生していく物語。この作品世界に悪意を持つ人は一人もいず、ただ運命が人を翻弄する。
2019/3/30 「カーテンコール」 (新宿村LIVE)
同じ脚本家による女子硬式野球部もの「スリーアウト」三部作と同じ春山高校が舞台となる作品で、「スリーアウト」一作目の逸話を演劇部が舞台化しようとするも、バス事故で5人の部員が幽霊に。自分は「スリーアウト」一作目の映画版の試写を見たばかりだったので感情移入しやすかったが、まったく予備知識がないとどう感じるんだろう? 同じ脚本を違うキャスト・演出・劇場で一ヶ月前にもやっているがそちらは未見。
2019/3/30 「両家顔合わせ」 (中野ザ・ポケット)
料亭の娘と銀行員の息子、結婚を控えて料亭での両家顔合わせの日。しかし料亭の主人には先方と顔を合わせたくない事情があり…。エンドレスで笑わせて来て、最後にはしみじみいい話にするシアターザロケッツの匠の技。これも笑いすぎによる呼吸困難で死ぬかと思った。
2019/4/14 「YESTERDAY  ONCE  MORE. -あの時君は若かった-」(武蔵野芸能劇場)
平成の末、定年退職を迎え旧友たちと馴染みの居酒屋に来た男が、昭和の末にタイムスリップ。その数日後に起きる、悔いの残るある出来事を阻止しようとするが。この時期ならではのタイムリーな作品。過去時代の恋人役・宇井真白、出番の尺は短いがあまりにも当時のメイクとファッションが似合いすぎて印象が濃い。過去タイムスリップものは「何を変えたいか」に書き手の人が出るように思う。

まだなにか抜けている気がするが、さすがに3月後半はちょっと行き過ぎか。学生の演者が多い場合、長期休みの時期に公演が集中しがちではあるのだけど。