観劇記録2019/10~11

2019/10/14マチネ ENG「探偵なのに」 (シアターグリーン BIG TREE THEATER)
しがない私立探偵はあるお嬢様が不審な男たちに絡まれているのではと勝手に調査していたが、むしろ不審者として彼女の屋敷にとらわれる羽目に。そして次から次と増えていく囚われの人たち。
とにかく、「興信所の探偵」役・図師光博さんと馴染みの「魅力溢れる喫茶店員」今出舞の掛け合いのグルーヴ感がよい。
この二人、1月に見た「遠慮ガチナ殺人鬼」でもコンビ的役柄だったのだが、演技の相性がいいってこういうことかと実感。
それにしても「謎のヒットマン」の存在が反則過ぎた。

2019/11/19ソワレ STRAYDOG Seedling「バンク・バン・レッスン」 (ワーサルシアター八幡山)
銀行強盗の対処訓練を繰り返していくうちどんどん設定が膨らんでいくコメディ。
何度も再演されている作品をストレイドッグで。
この妄想力勝負みたいな作品は再演ごとに色々アレンジできそうでいいなあ。メインキャストの一人が上西恵ということで、転換の間がっつりポニシュやBeginnerを踊るという構成には「儲けた」と。
あの支店のその後が気になる。

2019/10/20マチネ、10/21ソワレ WBB Plus「いえないアメイジング・ファミリー」 (Theater Brats)
妖怪家族の次女が人間に恋をしてしまい、家につれてくることになったが父は大の人間嫌い、彼が人間だとバレたら大変なことに、と画策するがそこに泥棒や神父までやってきて…。
家族全員キャラが立っていて楽しく、急遽翌日に当日券を追加したくらい。
末の妹サトリの笑い方とか最高。
ただ、前の方の席はかなりタイトな空間で床に座布団、膝を痛めているのでこれはきつかった。

2019/11/2マチネ 「おおばかもの ふくらめ!私のイースト菌」 (浅草花劇場)
パン屋だった記憶喪失のヒロインの記憶を戻すために夫と姉はパン屋を始めるが、募集で集まった人たちがみな一癖も二癖もある面々、さらにその中のひとりをライバル視するパン界の大物がいて。
ヒロインの姉役・小嶋菜月は、かつては棒読みをテレビ番組で何度もいじられたくらいだったのだが、それが信じられないくらいの好演で実質主役状態。人は成長できる。
あと、悪役の片割れミセスバターの田名部生来の網タイツのおみ脚が、大変よろしゅうございました。。
なんだかんだシリーズ一作目から見ている「おおばかもの」だが、今まで演劇・ダンス・お笑いとお題は変わっても大筋が変わらなかったのを今回で結構変えてきて、これは見続けてきたお客さんは賛否両論出るかなという構成に。
ただ、あのままだといずれ行き詰まっていたと思うので、ここで選択肢を増やしたのは吉と出る気がする。

2019/11/10マチネ 「魔術士オーフェン はぐれ旅-牙の塔編-」 (六行会ホール)
今回も原作リスペクトっぷりがすばらしく、まさに「挿絵から抜け出してきた」かのような外見に、原作からちょっと外れたシーンでもこのキャラならこうだろう、という仕草やセリフ。ここまでやってくれれば古くからのファンも満足だろうという出来。
みな相当内面を掘り下げてその人物を作ったのだと思う。
松多壱岱演出ならではの魔術の表現はさらに洗練され、殺陣のレベルもおそろしく高くて、アンサンブルに相当できる人たちを揃えた印象。

2019/11/30マチネ 劇団扉座「最後の伝令 菊谷栄物語 -1937津軽~浅草」 (紀伊國屋ホール)
前から行きたいと思っていた扉座の本公演をやっと見ることが出来た。
昭和・太平洋戦争前の実在の劇作家・菊谷栄が大陸での戦争に招集され、その出兵前の青森の旅館での一夜が主な舞台。世の中がどんどん理不尽な方向に進んでいくが、まだレヴューを上演したりジャズのレコードを掛けるくらいはできる、そういう時代。
エノケンの一座が浅草での公演を中断して品川まで菊谷出征の見送りに行ったシーンは史実なんだよな。客が満場一致でそれを許し帰りを待っていたというのも。
津軽弁の方言指導が相当徹底されたらしく、同じ津軽弁でも立場によってそれぞれ違うのがちゃんと表現されていて感心。
横山結衣の演じる北乃祭は実に適役、彼女あてがきならではの使い方。

2019/12/1ソワレ 100点un・チョイス「team」 (シアターサンモール)
うかつにもダブルブッキングしてしまって買い足したが本来11月に見る予定のものだったのでこちらに。
舞台本番前日なのに脚本のラストが来ない、さらに主役が行方不明に。明日本当に開演できるのかとあがく演出家・役者・スタッフたち。
自信なさげで頼りない様子だけど主役のセリフも入れている主役(ややこしい)・西銘駿さん、今年ちょこちょこ見るけどああいう役やらせるとしっくりくる。
ただ、100チョイでは「誰かが彼女を知っている」の方が好みだったかなー。
「team」は、あの作中で稽古している作品が、あまりいいものになりそうにない気がするんだよね。

本来もっと見ているはずなんだけど、10月は台風で一枚、11月はダブルブッキングで二枚チケット無駄にしてしまったのが残念。

舞台「誰かが彼女を知っている」

演劇ユニット100点un・チョイス!「誰かが彼女を知っている」於:赤坂RED/THEATER、2019/8/16ソワレ

一日夏休みが取れたので急遽チケットを確保。

長く同棲したカップルの片割れの女性が、ある日失踪する。男だけ残された部屋に次々と訪れる、彼女の同僚、きょうだい、隣人、刑事、さらに保険の営業に記者。はたして彼女の失踪の真相は。
基本的にシリアスな会話劇が二時間続くのだが、時々空気を壊す存在として若い刑事・江藤と隣の中年男・流川、上の階のキャバ嬢・玲奈が乱入してくる。特に江藤役・川隅美慎さん、空気を読まない鬱陶しさと使えなさをあそこまで演じられるのはお見事。流川役はイジリー岡田さんで、イベントの司会などは何度も生で見ているが、演技しているところを見たのは多分初めて。演劇ユニットを率いている人だけあってさすがに上手い。あと「弟」の演技の切り替えもお見事。
脚本の組み立てが緻密で、終盤も終盤になってから序盤の細かい伏線や兆しや嘘に気づく。途中までの自分の推理はかすってもいなかった。できれば二回見たかった作品。

それにしても後味の悪い終わり方。こういうの嫌いじゃない。