舞台「花火の陰」

2020/2/9マチネ 「花火の陰」 (三越劇場)
ある映画の撮影チームの大半が事故死した片田舎に二十年ぶりに訪れた役者二人と若いマネージャー、当時彼らを迎え入れた塾の先生。現在と二十年前の切り返しで話は進み…。
見る側は「この人もこの人も死んでしまう」と分かった状態での恋模様の切なさ。「楽屋」もそうだったが、演ずる人の業や覚悟も描かれる。映画監督サクマ役の岡田達也さんは以前キャラメルボックスの作品をちょいちょい見に行ってた頃以来、久しぶりに拝見。
この作品、舞台美術と照明がもう抜群に素晴らしかった。そうそう、パンフもとても良い出来で、こう言うところにちゃんと手間がかかっている作品は嬉しい。

舞台「終わらない世界」

2019/12/13ソワレ 「終わらない世界」 (博品館劇場)
2017/11に紀伊國屋ホールで上演された作品の再演。これも先日の「team」と同じく舞台初日開演までの話。
今回は主役のミワコを演じるのが大和悠河さんから緒月遠麻さんに変わったのだが、それによるテイストの違いを強く感じた。
この作品、禁酒法時代のアメリカをベースにした劇中劇部分とその稽古中の劇中での現実部分があるのだが、現実部分の芝居は緒月さんバージョンの方がよりリアル、劇中劇部分のケレン味は大和さんの方が派手だった印象。
ただこの印象の違いにはセットがやや地味になり(リアルな稽古場に近づいた)、その分見た目のショー感が薄れたせいもあるのかもしれない。数少ない初演と共通キャストの藤田奈那は裏表のある計算する女の子をしっかりと見せ、 二年分の成長を感じさせた。
芝居から受けた印象からすると、ミワコのライバル・サヨコ役の十碧れいやさんと役を交換したバージョンも成立すると思われ、これも見てみたいところ。
あと、この日のアフタートークで語られたのだけど、マチネ・ソワレ間にあるキャストの衣装の帽子が行方不明になり、最終的にトモル役の上遠野太洸さんが場所を言い当ててギリギリ間に合ったというエピソードが。見つからなかったらどうなってたんだろう。

観劇記録2019/9

ネタバレ対策で千秋楽を待っていたりしたら個別に書ききれなくなったのでメモで。

2019/9/1ソワレ オザワミツグ演劇 「世界でひとり落ちてだけじゃないのかもよ」於:Geki地下Liberty
大地震の後、ラブホテルの廃墟に逃げ延びた人たち(と、何人かの幽霊)。全体に重いのだけど、東日本大震災を生き延びて引っ越した先でいじめられる過去話のパートが特にしんどい。

2019/9/15 朝劇銀座「おはよう事故物件」
ユニコーンとマリリン、ドアをへだてて繋がる二つの高級クラブの店舗を朝だけ借りて上演するホラー作品。まずはユニコーン側で。こちらだけだとどうにも話が消化不良。

2019/9/15マチネ 「レッドスネーク、カモン!!【青春版】」 於:築地本願寺ブディストホール
昭和の伝説の芸人、東京コミックショウのショパン猪狩とその妻・千恵子の結婚から晩年までを二時間で。肝心のあの芸はかなり再現度が高かったと思う。
三匹のスネークを擬人化して出したりと工夫してて楽しい。それにしてもあそこまで我慢する奥さんは今はそうそういないだろうねえ。
あと、劇中の立川談志の言い回しがかなり本人っぽかった。

2019/9/15ソワレ ILLUMINUS 「星の少年と月の姫」 於: 中目黒ウッディシアター
女子高の演劇部と、そこで演じられる舞台のメタ構造。演じられる作品がいかにも高校演劇部で書きそうな色んな作品への参照ありで、特に「銀河鉄道の夜」のお気に入りのシーンがほぼほぼ使われていたりしてニヤニヤ。
それにしても千歳ゆうさんの少年装がドストライクで眼福。

2019/9/16 マチネ 「笹塚マッドプール」 於:Geki地下Liberty
シェアハウスに同居する男たちと、訪れる人たちと。最初は一方的に色んな人の用事を押し付けられているように見えた主人公・清志がむしろ周りを自分に依存するようにコントロールしている関係が見えてきてからの後半の狂気。清志のガールフレンド・雛子の暴走っぷりも中々。
一部、学生寮住まいで自分も似た経験をしたなと思うシーンが。

2019/9/21 朝劇銀座「おはよう事故物件」
今回はマリリン側で観劇。やっと話がつながってスッキリ。
これだけ近い距離で推しの芝居を見られることは今後もそうそうないと思うし、普通に働いてたら一生この店内には入れないだろうな。一瞬だけのシーンのキャストが、それにはもったいない美人さんでした。

2019/9/21マチネ 「お茶っぴき」於:上野ストアハウス
千秋楽前なので後日追記。
それにしてもいい音させてたな、ビンタ。
以下2019/12/14追記。
舞台となるのは風俗店の控室。
楓とさくらのベテラン嬢たち、若い売れっ子・杏、若いがあまり客がつかない桃子。
そして店長とボーイ、行為中に倒れて運び込まれる常連客に、時折やってくる出前持ち。この全員がちゃんと息をしていて、それぞれのそれ以前やその後に思いを馳せてしまう。
岡元あつこさん、小松みゆきさんの女っぷりに「茂木ちゃん、これを学べよ」と余計なお世話な思いも。
正直、自分が選ぶなら(茂木忍推しだけど杏じゃなく)桃子かなー、彼女が不人気嬢とは思えない。

2019/9/23 「Get Back!!」於:俳優座劇場
始まったばかりなので後日追記。
中盤の宴会シーンの芸達者ぶりが楽しい。

舞台「人魚姫」

ノックノックス「人魚姫」於:すみだパークスタジオ倉、2019/6/22マチネ

人魚姫ではあるがアンデルセンのあれとはほぼ関係がない、世界で最後の人魚姫を巡る物語。
ノックノックスは初見の劇団だが、劇団のツイートに本物の植物をセットに持ち込む様子があって、どんなセットになるかと見る前から楽しみにしていた。
入ってみると、目と鼻の先、段差なしに枯れ枝で区切られた先はもう砂が敷き詰められ緑の豊かなステージで、下手側には生演奏のスペース(写真は終演後の撮影可タイムに撮影したもの)。

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観劇記録2019/4後半~2019/5前半

備忘録として。

2019/4/20 「SKE48版ハムレット」 (club eX)

TV番組「SKEBINGO!」の企画から立ち上がった、SKE48メンバーによるハムレット。これが舞台経験のあるメンバーの少なさから想定していたより、はるかに良かった。いろいろ経験の多い高柳明音はもちろんのこと、特に古畑奈和と野島樺乃は今すぐ外の作品に出していいレベル。棺に入ったオフィーリア(野島樺乃)のシーン、美しかったな。
丸尾丸一郎さん、「山犬」もそうだけどアイドルに芝居をつけるのがうまいのでは。

2019/4/27 劇団時間制作「吸って吐く」 (萬劇場)

久しぶりにヘビー級の作品(精神的な意味で)。
交通事故で幼女を死なせてしまい懲役から帰ってきた父親、代わりに飲食店を経営している母親、事故以来ずっと家にいる長男・哲人、親からかまってもらってない長女・春代。そこに出入りする結婚間近のカップルやボランティア団体のリーダー格、そして長女の家庭教師。家庭教師は父親が死なせた娘の父で復讐を考えており、父親だけがそれを知っている。
過去の悲劇に対する真相の告白はあってもいかにもな解決はなく、ただ最後かすかに希望は残る。春代役・相笠萌は強硬な拒絶から打ち解けていくような芝居がしっくりくる。
見終わった後の余韻の重いこと重いこと。

2019/5/3 「天狗 ON THE RADIO」(東京芸術劇場 シアターウエスト)

閉局間近の地方のコミュニティーFMを舞台にした作品。ラジオをテーマにした作品だけに、緒月遠麻さんはじめ何人かは放送シーンでちゃんと「ラジオの声」になっている。普通にこの番組聴きたいな、と思うくらい。
そしてモロ師岡さん、出てくると存在感で全部持っていくのがズルい。
最後、過去からの手紙でがっつり泣かせつつも、安易に「閉局するのやめた」にしないのがマル。
個人的な大ポカで、もともと開演時刻を取り違えていたところに電車の遅延が加わり、久しぶりに本気で走る羽目に。

2019/5/4 劇団時間制作「吸って吐く」 (萬劇場)

前回観劇後の胸のつかえが取れず、当日券で二度目。開始時点でそれぞれの人物の立ち位置を知っている分、よりそれぞれの心情が胸に刺さる。哲人の最初のセリフからちゃんと意味があることは二回目を見ないと気づけないかも。
実の親からネグレクトされていた春代と、実の娘を喪ってしまい加害者の娘を殺すために家庭教師になった男がある時期から擬似父子となっていくシーケンスの救いよ。
舞台美術が抜群に素晴らしい作品でもあったので、終演後にステージ前まで行って細かく細部を観察してしまった。

2019/5/11 「母母母と笑いなさい」 (中野MOMO)

母との関係をテーマにした4本の短編からなるオムニバス作品。
プロデュースした初恋タローさんがお笑いの人だけに、お笑い芸人を主人公にした4本目が一番力が入っているように感じた。
まだ上演中の作品に付き後で加筆。
以下加筆:
「何食べたい?」いじめから逃れるため不良グループと付き合うようになり次第に堕落していく少女とその母の物語。正直四作品中では一番こじんまりとしていたかな?
「寝たふり」バンドマンとは名ばかりのヒモのせいで風俗嬢からAV女優へと進んでいくがそこで意義とプライドを獲得する主人公と、その世界で人気が出たことに嫉妬しブチ切れるヒモと。終盤に出てくる母のキャラクター造形が強烈。
「アケビの花」かつて殺人を犯し今は別れて暮らしている母と、堕落しつつある主人公と。母親役が一本目の「何食べたい?」ではいじめっ子役だった森詩織だが、それにしばらく気づかなかったくらいのみごとな演じ分け。
「笑う母」この作品だけ主人公が男性。大阪から上京して漫才コンビを組んでいる主人公と、ザ・大阪のおばちゃんな母と。プロデュースしたタローさんがお笑い畑の人だけに、エピソードに説得力があった。