舞台「佐山家シンフォニア」

2019/12/15マチネ シアターザロケッツ「佐山家シンフォニア」(六行会ホール)
亡くなった佐山家当主の三回忌、久しぶりに集まった家族や来客の中には大事なことを告白したい者が何人もおり、またそれをなんとか隠したい人もおり。ごまかそう、隠蔽しようとすることが勘違いを生み、ボタンの掛け違いはどんどん大きくなっていって。
ロケッツ作品には、どんなにドタバタになってこれ以上笑ったら呼吸困難になるんじゃないかと恐怖させられても最後はしっかり人情噺に着地してくれる安心感があるが、これはまさにその「ロケッツらしさ」の見本のような作品。
今回の上演の前に初演のDVDも見ているが、再演では演技や演出があちこちパワーアップしている。箱自体がテアトルBONBONから六行会ホールに変わったことによってセットが大きくなり、特に部屋の窓が大きくなったのもうまく活かしていて、手前の芝居と並行して窓の外でとんでもないことをやっていたりする。
あと、毎度ながら林里容さんの声がいいよね。

シアターザロケッツはちょいちょい作品を再演している気がしたが、本公演の再演はこれが初とのこと。他の再演(「雨のち晴れ」とか)はすべてプロデュース公演。

観劇記録2019/9

ネタバレ対策で千秋楽を待っていたりしたら個別に書ききれなくなったのでメモで。

2019/9/1ソワレ オザワミツグ演劇 「世界でひとり落ちてだけじゃないのかもよ」於:Geki地下Liberty
大地震の後、ラブホテルの廃墟に逃げ延びた人たち(と、何人かの幽霊)。全体に重いのだけど、東日本大震災を生き延びて引っ越した先でいじめられる過去話のパートが特にしんどい。

2019/9/15 朝劇銀座「おはよう事故物件」
ユニコーンとマリリン、ドアをへだてて繋がる二つの高級クラブの店舗を朝だけ借りて上演するホラー作品。まずはユニコーン側で。こちらだけだとどうにも話が消化不良。

2019/9/15マチネ 「レッドスネーク、カモン!!【青春版】」 於:築地本願寺ブディストホール
昭和の伝説の芸人、東京コミックショウのショパン猪狩とその妻・千恵子の結婚から晩年までを二時間で。肝心のあの芸はかなり再現度が高かったと思う。
三匹のスネークを擬人化して出したりと工夫してて楽しい。それにしてもあそこまで我慢する奥さんは今はそうそういないだろうねえ。
あと、劇中の立川談志の言い回しがかなり本人っぽかった。

2019/9/15ソワレ ILLUMINUS 「星の少年と月の姫」 於: 中目黒ウッディシアター
女子高の演劇部と、そこで演じられる舞台のメタ構造。演じられる作品がいかにも高校演劇部で書きそうな色んな作品への参照ありで、特に「銀河鉄道の夜」のお気に入りのシーンがほぼほぼ使われていたりしてニヤニヤ。
それにしても千歳ゆうさんの少年装がドストライクで眼福。

2019/9/16 マチネ 「笹塚マッドプール」 於:Geki地下Liberty
シェアハウスに同居する男たちと、訪れる人たちと。最初は一方的に色んな人の用事を押し付けられているように見えた主人公・清志がむしろ周りを自分に依存するようにコントロールしている関係が見えてきてからの後半の狂気。清志のガールフレンド・雛子の暴走っぷりも中々。
一部、学生寮住まいで自分も似た経験をしたなと思うシーンが。

2019/9/21 朝劇銀座「おはよう事故物件」
今回はマリリン側で観劇。やっと話がつながってスッキリ。
これだけ近い距離で推しの芝居を見られることは今後もそうそうないと思うし、普通に働いてたら一生この店内には入れないだろうな。一瞬だけのシーンのキャストが、それにはもったいない美人さんでした。

2019/9/21マチネ 「お茶っぴき」於:上野ストアハウス
千秋楽前なので後日追記。
それにしてもいい音させてたな、ビンタ。
以下2019/12/14追記。
舞台となるのは風俗店の控室。
楓とさくらのベテラン嬢たち、若い売れっ子・杏、若いがあまり客がつかない桃子。
そして店長とボーイ、行為中に倒れて運び込まれる常連客に、時折やってくる出前持ち。この全員がちゃんと息をしていて、それぞれのそれ以前やその後に思いを馳せてしまう。
岡元あつこさん、小松みゆきさんの女っぷりに「茂木ちゃん、これを学べよ」と余計なお世話な思いも。
正直、自分が選ぶなら(茂木忍推しだけど杏じゃなく)桃子かなー、彼女が不人気嬢とは思えない。

2019/9/23 「Get Back!!」於:俳優座劇場
始まったばかりなので後日追記。
中盤の宴会シーンの芸達者ぶりが楽しい。

舞台「ヤンキャバウォーズ」

WITHYOU「ヤンキャバウォーズ」於:シアターモリエール、2019/7/20マチネ

原作漫画「ヤンキャバ・ウォーズ~六本木元ヤンキャバ嬢大戦争~」の舞台化。
高校卒業目前のヤンキー女子校生がキャバ嬢に喧嘩を売ってあっさり返り討ちにあい、見返すために同じ店で働くことに、という、「不良が何かで才能開花」もので、大枠は決まってしまうから演出と演者勝負。
その演出・脚本はシアターザロケッツの荒木太朗さん。彼自身の劇団でのホストクラブもの「シャンパンタワーが立てられない」(→過去記事)もとてもいい出来だったので期待。その期待を裏切らない出来だった。原作は現在kindle unlimitedで無料で読めるので通読したが、かなりのセリフと人物造形をそのまま活かしつつ(ドレスの選択なんかも似せてる)、いくつかの設定変更(きっかけとなったキャバ嬢を原作と違って同じ店に、オーナー店長のキャラ造形を変更、最初の嫌な客を終盤のキーマンに配置など)で二時間にうまくまとめているのがさすが。
そして演者。店のオーナー役・渡辺裕之さんの貫禄と洒落っ気、ナンバーワンキャバ嬢・ 麗奈役の副島美咲さんの別格感、IT企業社長役古賀司照さんの強烈な曲者感と表現の振り幅。
これを相手にしての美羽役・岡田彩花さん、序盤のヤンキーからいっぱしのキャバ嬢への成長を二時間の間に見せていてお見事。成長したなあ。
出演者の中に現役マジシャンがいることもあり、前説と作中にマジックが出てくるのも舞台ならではのアレンジで楽しい。

舞台「楽園の女王」

イルミナス「楽園の女王」於:シアターモリエール、2019/6/1マチネ、6/2

17世紀に実在したバタヴィア号事件をモチーフにした、ダークファンタジーなガールズ演劇。 未見だが前作「赤の女王」が16世紀ヨーロッパとバートリ伯爵夫人をモチーフとしていて、いろいろとそこからの関連がある模様。

ガールズ演劇は最近正直ちょっと食傷気味だったが、これは贔屓の出演者が多いので楽しみにしていた。正直期待以上の出来。
殺人狂で悪魔崇拝者の王女アンとその従者グレンダの乗っ取り失敗により難破した船がたどり着いた孤島は、しかし製薬会社の秘密の施設がある島で……。
そのアンの序盤から躊躇ない殺しっぷりにこれが一番の悪党かと思いきや、終盤世間離れした上流貴族とその付き人のイザベラとエマが正体を表してからの圧倒的強さの表現。この切り替えの見事さは歌舞伎なら声が飛びそうなくらい。
そして真に一番「殺していた」のは、なんの戦闘能力も持たず、いきなり島に来た殺人狂やら吸血鬼やらに翻弄されていたはずの主人公メアリーだったという構造もお見事。仕事とはいえ薬の人体実験で大量の人命を奪いすでに心壊れていたメアリーは伝染病を意図的に媒介し、「百人殺して悪魔召喚」を狙うアンより多くの命をとっくに奪っていたのだった。 「おいたが過ぎた」アンが処刑されるシーンでも、実は舞台端でメアリーが笑っているという、気づいた人だけがゾクリとする仕掛け…。
「処刑」されたアンのその後など、いろいろ後日談の妄想が捗る作品でもありました。
終幕時点で結局人間として生き延びたのは製薬会社のフィオナひとりだけだったんだけど(他はヴァンパイアと悪魔と死神)、あの強運こそ最強なのかもしれない。

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観劇記録2019/4後半~2019/5前半

備忘録として。

2019/4/20 「SKE48版ハムレット」 (club eX)

TV番組「SKEBINGO!」の企画から立ち上がった、SKE48メンバーによるハムレット。これが舞台経験のあるメンバーの少なさから想定していたより、はるかに良かった。いろいろ経験の多い高柳明音はもちろんのこと、特に古畑奈和と野島樺乃は今すぐ外の作品に出していいレベル。棺に入ったオフィーリア(野島樺乃)のシーン、美しかったな。
丸尾丸一郎さん、「山犬」もそうだけどアイドルに芝居をつけるのがうまいのでは。

2019/4/27 劇団時間制作「吸って吐く」 (萬劇場)

久しぶりにヘビー級の作品(精神的な意味で)。
交通事故で幼女を死なせてしまい懲役から帰ってきた父親、代わりに飲食店を経営している母親、事故以来ずっと家にいる長男・哲人、親からかまってもらってない長女・春代。そこに出入りする結婚間近のカップルやボランティア団体のリーダー格、そして長女の家庭教師。家庭教師は父親が死なせた娘の父で復讐を考えており、父親だけがそれを知っている。
過去の悲劇に対する真相の告白はあってもいかにもな解決はなく、ただ最後かすかに希望は残る。春代役・相笠萌は強硬な拒絶から打ち解けていくような芝居がしっくりくる。
見終わった後の余韻の重いこと重いこと。

2019/5/3 「天狗 ON THE RADIO」(東京芸術劇場 シアターウエスト)

閉局間近の地方のコミュニティーFMを舞台にした作品。ラジオをテーマにした作品だけに、緒月遠麻さんはじめ何人かは放送シーンでちゃんと「ラジオの声」になっている。普通にこの番組聴きたいな、と思うくらい。
そしてモロ師岡さん、出てくると存在感で全部持っていくのがズルい。
最後、過去からの手紙でがっつり泣かせつつも、安易に「閉局するのやめた」にしないのがマル。
個人的な大ポカで、もともと開演時刻を取り違えていたところに電車の遅延が加わり、久しぶりに本気で走る羽目に。

2019/5/4 劇団時間制作「吸って吐く」 (萬劇場)

前回観劇後の胸のつかえが取れず、当日券で二度目。開始時点でそれぞれの人物の立ち位置を知っている分、よりそれぞれの心情が胸に刺さる。哲人の最初のセリフからちゃんと意味があることは二回目を見ないと気づけないかも。
実の親からネグレクトされていた春代と、実の娘を喪ってしまい加害者の娘を殺すために家庭教師になった男がある時期から擬似父子となっていくシーケンスの救いよ。
舞台美術が抜群に素晴らしい作品でもあったので、終演後にステージ前まで行って細かく細部を観察してしまった。

2019/5/11 「母母母と笑いなさい」 (中野MOMO)

母との関係をテーマにした4本の短編からなるオムニバス作品。
プロデュースした初恋タローさんがお笑いの人だけに、お笑い芸人を主人公にした4本目が一番力が入っているように感じた。
まだ上演中の作品に付き後で加筆。
以下加筆:
「何食べたい?」いじめから逃れるため不良グループと付き合うようになり次第に堕落していく少女とその母の物語。正直四作品中では一番こじんまりとしていたかな?
「寝たふり」バンドマンとは名ばかりのヒモのせいで風俗嬢からAV女優へと進んでいくがそこで意義とプライドを獲得する主人公と、その世界で人気が出たことに嫉妬しブチ切れるヒモと。終盤に出てくる母のキャラクター造形が強烈。
「アケビの花」かつて殺人を犯し今は別れて暮らしている母と、堕落しつつある主人公と。母親役が一本目の「何食べたい?」ではいじめっ子役だった森詩織だが、それにしばらく気づかなかったくらいのみごとな演じ分け。
「笑う母」この作品だけ主人公が男性。大阪から上京して漫才コンビを組んでいる主人公と、ザ・大阪のおばちゃんな母と。プロデュースしたタローさんがお笑い畑の人だけに、エピソードに説得力があった。