舞台「花火の陰」

2020/2/9マチネ 「花火の陰」 (三越劇場)
ある映画の撮影チームの大半が事故死した片田舎に二十年ぶりに訪れた役者二人と若いマネージャー、当時彼らを迎え入れた塾の先生。現在と二十年前の切り返しで話は進み…。
見る側は「この人もこの人も死んでしまう」と分かった状態での恋模様の切なさ。「楽屋」もそうだったが、演ずる人の業や覚悟も描かれる。映画監督サクマ役の岡田達也さんは以前キャラメルボックスの作品をちょいちょい見に行ってた頃以来、久しぶりに拝見。
この作品、舞台美術と照明がもう抜群に素晴らしかった。そうそう、パンフもとても良い出来で、こう言うところにちゃんと手間がかかっている作品は嬉しい。

舞台 「キューティーハニー Emortional」

2020/2/8ソワレ 「キューティーハニー Emortional」 (サンシャイン劇場)
今までアニメ・映画は作られている大メジャータイトルの初の舞台化。
キューティーハニーはシスタージルを封印したものの力の暴走の結果十年間スリープ、記憶をある程度失っているいう設定。
その間に開発された新世代ハニーたちと、パンサークローの戦士たち。この新世代ハニーたちとパンサークローたち、全員キャラが立っていて、クロックアップ的な能力を持つジャンパーハニーや電脳空間戦特化のサイバーハニー、キャンディクローとジョーカークローのコンビ、日本刀使いのメイドクローとかビジュアル的にも上手く差別化したなと。ブラックハニー役の吉川友さんは歌も別格。
その上に、一般人の先生と生徒の計4人が芝居的に大活躍。特に変身に衣装の早替えを使わなかった分のつなぎシーン、ミハル先生役の民本しょうこさんは小劇場のノリをサンシャイン劇場でぶちかまして客席を笑いの渦に。できれば複数回見て日替わり部分を確認したかったところ。
松多壱岱得意のプロジェクションマッピングはこの手の作品では効果的で、電脳空間の表現や、変身シーンの映像(これがまあ実写版でそこまでやるかという出来)、ヘリコプター上からの映像とお見事。
2部のライブパートも作中のキャラに合わせた曲で、特にパンサークロー側は劇団4ドル50セントから参戦している谷口愛祐美、樹亜美の二人が本領発揮。

秋の続編がすでに発表されているが、それまでには変身後衣装への着替えをもう少し早くできるといいかな?人間役大活躍シーンではあるけど、さすがにちょっとテンポが。

舞台「楽屋」

2020/2/8 「楽屋」 (木星劇場)
初演が1977年の渋谷ジァンジァンという歴史ある戯曲をストレートに上演。女優の業が描かれた、上演する演者に覚悟を尋ねるような作品。
キャパ40人もない木星劇場の狭さ・近さが、かえって本物の楽屋を覗き見するようなリアリティに。四人の登場人物いずれにも長台詞、しかもチェーホフやシェイクスピアの古典から引用したそれをとうとうとまくし立てながら演じるシーンがあり、台詞を入れるだけでもかなり大変そう。
これは元の戯曲が読みたくなって、収録されている清水邦夫「夜よおれを叫びと逆毛で充たす 青春の夜よ」まで古本で買ってしまった。

舞台「ダレンジャーズ2」

2020/1/25 「ダレンジャーズ2」(六行会ホール)
「邪悪・ナイト・ライジング」「ダレンジャーズ」と続くシリーズの三作目、なのだが、前二作を見ていない私でも終始爆笑。東西のヒーロー物からいろいろネタを頂きつつ、かなりのギャグとシモネタと、しかし要所要所でしっかり熱くヒーロー物に。
シリーズ通しての主人公格・阿久津正斗の特質が「非道なことをするほど強くなる」邪悪の力のため本来は協力するべき他の戦士を殴る蹴るしてパワーアップとか、各キャラの能力設定からしておかしい。
阿久津と共闘する財団の天才少年の護衛・神埼役の栗生みなさん、敵方ヘルダークネスの幹部ペイン役の藍菜さんは、ふたりとも猛烈なキャラ立ち。特にあそこまで笑いに振った栗生さんを見るのは初めて。ヒロインで守られるポジションの桜撫子役・今出舞さんはこの布陣だとさすがにちょっと目立つ箇所が減るけど、それでもクライマックスでは大活躍。

シリーズ通しての大悪役・エレクター役の五十嵐啓輔さんが急激な喉の化膿で途中降板したのは残念だけど、やっと退院されたようで一安心。アンサンブルの一人を急遽エレクター役にしてわずか一公演の休演で立て直した後の上演回も見てみたかった。