パンデミックでチケットを取っていた舞台が軒並みバラシになり呆然の時期。
2020/5/23配信回 劇団ノーミーツ「門外不出モラトリアム」
コロナ禍に立ち上がったオンライン演劇の第一人者となる劇団ノーミーツの初長編作品。
演者が集まれないという状況を利用して、外出不可の状況のなかZOOMで集まる学生五人の群像劇に。
試行錯誤しながら新しいものを生み出していくその現場に立ち会える興奮。脚本は直接会って確かめられない状況を利用した巧妙なものだし、作中の時間が変わるごとに部屋のカレンダーを掛けかえたり着るものが変わっていたりと作り込みも細かい。
(これを実現する各演者の仕事量が半端ない)
この後オンライン作品に次々出演することになる田島芽瑠が好演。
2020/6/1配信 本多劇場DISTANCE
コロナ禍での演劇界の窮状についに本多劇場まで配信演劇を開始。ZOOMで繋ぐのとは異なり、無観客の本多劇場にカメラを入れての生配信。
永島敬三「ときめきラビリンス」、井上小百合「齷齪とaccept」、入江雅人「500」の三人それぞれの短編一人芝居を三本。どれもとてつもないものだった。
各短編の間を繋ぐ清掃員役の二人、御笠ノ忠次・川尻恵太のセリフが演劇そのものに対して批評的。
2020/8/5配信 「大人になる、には」
劇団4ドル50セントと時間制作・谷碧仁が組んだオンライン作品。妥協せず心をえぐってくるずっしりとした会話劇を得意とする谷碧仁の作・演出はオンラインだろうがやはり変わらず。
競技かるた部の部室、登場人物は部員たちと顧問いう設定で一時間の小品だったが、見終わったころにはだいぶ持っていかれる。
2020/8/7配信「トランス」
鴻上尚史の戯曲をZOOMでオンライン朗読劇として再構築しPUBLIC∴GARDEN!が上演。元々が三人芝居の会話劇だったので、朗読劇に落とし込みやすいいい演目を選んだと思う。
2020/8/22 マチネ 「知恵と勇気と極悪キノコ」(芸術劇場シアターウェスト )
久しぶりに生で。
劇団LIVESの人気作品のキャストを変えての再演。
ある変身ヒーローもの作品の映画版の現場、「戦闘員A」役で参加する若い役者にとっては、芸能生活最後の仕事にして、初めて映画に映る機会であった。
事情を知った他の戦闘員役の役者たちはなんとか彼の見せ場を作ろうと協力するが、脚本家の言った「悲哀」を「卑猥」と聞き違えたりと、どんどん駄目な方向に頑張っては監督を激怒させることに。その脚本家は脚本家で夫婦関係に問題を抱えており。
多くのシーンは大部屋の楽屋で展開するのだが、劇中のその入り口に消毒用アルコールとマスクが置かれているあたり確実に2020年の芝居。
まあ、戦闘員役に勝手にあんな芝居されたら自分が監督でも外そうとすると思う。
人気女優役に須藤茉麻、映画初出演の人気声優役に藤田奈那(アイドル時代よりよほどアイドルっぽく振る舞っていた)、メイキングの監督役に藤江れいな、往年の人気アイドルの中年俳優役に野村宏伸。