舞台「人魚姫」

ノックノックス「人魚姫」於:すみだパークスタジオ倉、2019/6/22マチネ

人魚姫ではあるがアンデルセンのあれとはほぼ関係がない、世界で最後の人魚姫を巡る物語。
ノックノックスは初見の劇団だが、劇団のツイートに本物の植物をセットに持ち込む様子があって、どんなセットになるかと見る前から楽しみにしていた。
入ってみると、目と鼻の先、段差なしに枯れ枝で区切られた先はもう砂が敷き詰められ緑の豊かなステージで、下手側には生演奏のスペース(写真は終演後の撮影可タイムに撮影したもの)。

はじまりは、成り行きで一緒に旅を続けることになったおばあさんと少年。旅の途中いろんなお話を聞かせてもらっていたらしい少年は、おばあさんに新たなお話をせがむ。そして語られるのは、昔々の、ある村の人々と人魚のお話。この導入パートの少年の感情表現がめっぽう凄いと思ったら、かつてNHKの「おかあさんといっしょ」で弘道おにいさんと一緒に出ていたきよこさん。

お話の中の村「カントアール」は、ベネット村長一家以外は貧しいながらも慎ましく暮らす平和な村で、そこに暮らす少女アレッタ(藤田奈那)が実質的な主人公。アレッタはネズミやカラスとも会話できる女の子で、仲の良いネズミのアレクサンダー、カラスのガブリエルはパペットでの登場、なのだが、このパペットを両手にはめた演者が途中から顔出しで演技し始める演出に驚愕。声優経験のある藤谷みきさんの能力を生かしているのだが、ガブリエルとアレクサンダー(を両手にはめた藤谷さん)がアレッタをハグしているシーンなどはどう見ればいいのかちょっと頭が混乱したw
このアレッタとアレキサンダー、ガブリエルとの掛け合いは物語前半の楽しいポイント。

物語が動き出すのは、村長が大金はたいて人魚を手に入れたらしいという噂が流れてから。アレッタは屋敷の奥に囚われていた「最後の人魚」マリーナを助け出してしまい、我が家に匿うことに。
この人魚姫を演じるのが蓮城まことさん。さすがにもと宝塚男役、階段の上に立った時の華のあることと言ったら。
アレッタの家に遠く東の国からの脱走兵イチタロウや逃げた人魚を探しに来た村長一家など一同押しかけてドタバタになったところで第一幕終了、休憩へ。
この作品、小学生以下無料ということで時間的にこのあたりが年少の観客達の集中力の限界という判断だろう。

第二幕、人魚を探しにやってきた武器商人ガストンが現れてからは物語は一気に悲劇へと様相を変える。母の病気のためにやむなくベネットにつかえていたセシルを仲間にし、ためらいなく村人を撃つ。ガストンはついには村に火を放ち……。
このガストンの堂々たる悪役ぶり、突き抜けていっそ魅力的ですらあった。

以下ちょっと考察。
物語の中の「カントアールの村」、当初「昔々」で語られているのと暮らしぶりから素直に中世~19世紀くらいかと思っていたのだが、「車を待たせてある」というセリフが出てきたり、「人魚を巡って大きな戦争があった」「人魚が生きていけないほど海が汚れてしまった」世界とわかってきて、戦争と環境破壊でで文明の多くが毀損してしまった近未来なのかな、と。

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