舞台「二子玉川ノ恋」

「二子玉川ノ恋」於:iTSCOMスタジオ&ホール二子玉川ライズ、2019/8/24マチネ

銀行員の夫と結婚し、語学教室に通う専業主婦の陽奈多はある日その教室の新入生となった「山田」と恋に落ちるが、それは夫の智雄が陽奈多と良い条件で別れるために頼んだ「別れさせ屋」の仕事だった。夫の思惑通り財産分与もなく離婚することになる陽奈多。
一方、「山田」こと綾瀬は同棲中のキャバ嬢・結菜に別れさせ屋をやめさせられ、彼女が立ち上げた芸能事務所の看板役者となって急激に売れていく。
三年後、過密スケジュールから逃げ出すように突発的に海外を訪れた綾瀬は、そこでツアーコンダクターとなっていた陽奈多と再会し…。

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舞台「家族の話」

「家族の話」於:六行会ホール、2019/8/23ソワレ

鉄拳さんの原作の舞台化。長野から上京した幼馴染二人、それぞれの挫折と帰郷。
長野での上演のほうがメインだからか、どうも「東京でひどい目にあう」「けど郷里は優しい」話になっている。
ただ主人公の方は中盤以降完全に増長からの自滅でまわりが離れていくのも自業自得、ある意味一番感情移入しづらい。なんなら「主人公以外みんなまとも」。プロデューサーもきっちり仕事をしただけだし。
もうひとりの方は慣れない仕事に必死で大きなミスをする中でも職場の人達がみな度量が広く「こんなホワイトな職場があれば!」と思うほどで、それでも仕事が合わずに頑張ってもうまくいかなかったという話なのだけど。

ひとつだけ。舞台美術にあまり目くじらをたてるのもどうかと思うが、あれはリンゴの木の枝の形としてはありえない。最初にそこに目が行ってしまったのが、作品世界にうまく乗れなかった原因かもしれない。
私の母方の本家も、主人公の家同様にリンゴ農家なのです。

舞台「あっとうてきに愛してる」

「あっとうてきに愛してる」於:コフレリオ新宿シアター、2019/8/23マチネ

ある病院に入院している「おっちゃん」と、おっちゃんと仲のいい、入院しているようなのだがいまいち立場が謎なケースケ。そこにおっちゃんの娘のチャコまで入院してきて、ケースケはチャコに一目惚れからの猛アタック。さらに看護婦のストーカーやら、病院の談話室廃止・増床計画が絡んできて。
宇井真白がヒロインという一点で見に行ったのだが、まあこれが想定外に良い出来でしっかり笑わせ、しっかり泣かせて。ヒロインはもちろんだが、男性陣のキャラがみんな濃くて、彼らだけスピンオフが作れそうなくらい。
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舞台「チャイナ・ディフェクション」

女神座ATHENA「チャイナ・ディフェクション 天冥争覇」於:コフレリオ新宿シアター、2019/8/18マチネ

まだ皇帝がいた時代の中国。若い姉妹が営む食堂に記憶喪失の娘が助けを求めて転がり込み、それを追う組織がやってきて。
金曜日に面白いと評判を聞いて、土曜に入ってから急遽チケットを確保。
狭いコフレリオ新宿で、まるで全盛期香港カンフー映画のような作品をやってのけるというなかなか凄いことをやっている。
とにかく、ほぼ全員まともな殺陣をやったことがないであろう10人の若い女優で、カンフー映画の戦いのツボをきっちり押さえた殺陣を終始やってのけるのだから、いったいどんな教え方をしたらこんな事ができるのだろう、とそちらに興味が湧くほど。
序盤の食堂での戦いで、いかにもまっすぐに武術を学んでいるらしいマオの動き、そのおばあちゃんの丼や箸を使って武器をあしらう達人的な動き(このおばあちゃん役の田畑寧々さんの動きがほんとに素晴らしい)、襲いくる銀嶺会の使い手たちそれぞれの武器の個性を生かした動き。もうこれだけで「わかってるなー!」と感心。
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舞台「魔術士オーフェンはぐれ旅」

「魔術士オーフェンはぐれ旅」於:新宿村LIVE!、2019/8/17マチネ

今年25周年を迎えるライトノベル、秋田禎信「魔術士オーフェン」シリーズ、原作1巻「魔術士オーフェンはぐれ旅 我が呼び声に応えよ獣 」の舞台化。
自分は旧富士見ファンタジア文庫のライトノベルはそれなりに読んでいるつもりだったが実はオーフェンはつまみ読み状態で(多分早めに人気が出た作品だから)、観劇前にやっと1巻をちゃんと読み、あとはオーフェンペディアで補完という有様。
で、その1巻で印象的だったシーンやセリフを本当に丹念にそのまま舞台のものとして息を吹き込んでいて。
プロジェクションマッピングと音響により魔術や魔獣を舞台上に現出させるのはもちろん、原作への理解と愛情がないとこうは出来ないだろうという細かい部分で「この人物ならこう」を再現しており、さらには原作中であまりにあっさり死んだのちに過去編で人気が出た人物を「ちゃんと殺してあげる」というファンへのプレゼントまで。
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