舞台「ビジネス」

2019/12/14 マチネ Pxxce Maker’ 「ビジネス」(ザムザ阿佐ヶ谷)
今年一二を争う、メンタルに刺さった作品。
大手アプリ会社の、そもそもの祖業だったが今は傍流の部署となり本社から隔離されてしまった手紙・便箋部門。その中でも上昇への野心を熱く語り周りの態度を批判し差別発言も繰り返す厄介な男・村上が主人公。彼が心酔する合理的で有能な先輩・五十嵐はしかし家庭では問題を抱えていて。
ある日その部署に、本社からの使者の女性社員・種田が部署解散の通知を持ってやってくる。部署の面々はなんとか撤回させようと起死回生の企画案を練るが…。

いや、とてつもない作品を見た。個人的に仕事で近い境遇になったばかりということもあり、こんなに見ていてしんどくなった観劇は久しぶり。会社の問題、性の問題(登場人物の一人はFtMであり、演者自身もそう)、演劇ならではの突き刺し方。作・演出の谷碧仁さんはまだ二十代だというのが恐ろしい。
正直、アフタートークで演者の素のモードが見られなかったらずっと引きずってしまったと思う。
面会で「こういうの好きでしょ」と言われたけど、そう、こういう心に爪を立ててかき回されるような作品に出会ってのたうち回るのが好きなんだ。