「幻想のリチェルカーレ」於:キーノートシアター、2019/7/26ソワレ、7/27マチネ
コメディを得意とする劇団カラスカの劇作家・江戸川崇さんが新たに立ち上げたフリスティエンターテインメントの第一回作品。
基本ノンストップコメディなカラスカ作品と違い、延々笑わせるのはもちろんなのだがかなり凝った話の流れと三人の主人公それぞれの闇とで、これは別団体の作品にしたのもわかる。
中世貴族→現代の学校→謎の競技「アモーレ」のオリンピック予選会→破滅目前の未来世界と、登場人物の名前は変わらないまま次々話が転換していき、未来世界からそれまでの各世界に干渉してスイッチバックしていく構成は、初見では「え、どういうこと?」となったお客さんも多かったのではないかと思う。この凝った時間ものor多元宇宙ものの構成と矢継ぎ早に繰り出されるギャグを両方受け止めるためには最低二回は必要で、「最低二回見て」という相笠萌の言葉を素直に聞いていて本当に良かった。
トリプル主演の三人、セイラ:石井陽菜、サラ:相笠萌、アリス:広沢麻衣の三人共に闇に落ちるだけの要素をうまく設定されている。個人的にはアリスの設定・人物造形が一番しっくり来た。
そして残りの六人、小柄な「魔法少女」の二人と四人の男性陣もまた強烈な味付け。特にタケ:吉本剛士さんはシーンによってはほとんど出落ち級。
そして作中で使われる「魔法」の呪文が
・パルテノン神殿
・人斬り抜刀斎
・獣神サンダーライガー
・チョコモナカジャンボ
・墾田永年私財法
・ローマの休日
等々。たしかに音として響きはいいのだが、「パルテノン神殿」だけでふふっと笑う体になってしまったのはいったいいつ直るのだろう。
フリスティの次作があれば、キャストに関わらず見てみたいところ。